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官能相場小説「愛のなまず(前編)」

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「愛のなまず(前編)」

もう江崎には隠しきれないと悟った時、神部と裕子は死ぬことを決意した。どうせ死ぬなら壮大な自然に囲まれて死にたいというのが、二人の一致した意見であった―――





神部と裕子と江崎は大学時代に同じゼミに所属していた。最初は3人で仲良くしていたが、神部は裕子の今にもはち切れそうな胸の膨らみに惹かれて付き合うようになった。





実は江崎も裕子に惚れていたことに神部は気がついていたが、知らない振りをしていた。ルックスも大学の成績も家柄も江崎には勝てない神部が唯一得たものが裕子だったのだ。





神部は高校生の頃から趣味で小説を書いていた。大学3年の時に文芸誌に投稿した『愛のなまず』という小説がその年のXX賞に選ばれた。大学生でこの賞を受賞することは珍しく、大井又三郎がT大学在学中に『シック』を受賞して以来だった。





『愛のなまず』では、主人公の青年タケシが盥で飼っていたなまずが、ある日、5メートルも飛び跳ねたのを見て「これは大地震がくるぞ」と思い、某鉄道株を空売りして大儲けするというストーリーであった。





その後、青年タケシは空売りで儲けた金を元手に会社を興して大成功していく。社長室で客を迎えるときは、つねに女を複数侍らせていた。





社長になったタケシが女のスカートのなかに手を入れて内股をまさぐったり、明らかに下着をつけていないブラウスの上から突起をいじくりまわしながら客をもてなすシーンに審査員たちは「人間の生きる切なさを的確に表現している」と感銘を受けて満場一致でXX賞に選ばれた。





大学在学中にXX賞を受賞したことで、自分の将来は約束されたものだと思い、神部は就職活動をしなかった。まわりの同級生が企業から選んでもらうために自分を押し殺して、昼夜就活に励んでいるのを見て心の底からバカにした。





小説の中で自由に表現できる自分は「選ばれた人間」だと思い、優越感を感じていた。江崎は外資の金融機関に就職が決まったと風の噂で聞いたがどうでもよかった。





大学を卒業してから3年後、神部の暮らしは一転して貧しかった。新作を発表しても、どれもこれも鳴かず飛ばずで肉体労働のアルバイトを掛け持ちして暮らすのがやっとであった。ついにはどの出版社からも執筆依頼がこなくなった。





あんなに優しかった裕子は神部が売れなくなると冷たくなり、一緒に住んでいたアパートから出て行ってしまった。それから1年後、結婚式への招待状が届いた。裕子の結婚相手はあの江崎であった。これ以上無いくらいに惨めな気分になった神部は招待状を破って捨てた。





まったく売れない時期が続いたが、20XX年に日本の株式市場にバブルが訪れ、かつてない個人投資家ブームになった。「底辺からの逆襲」という言葉が流行り、株で一発当てて成り上がろうとする若者が増加した。





このバブル相場を機に、かつて神部がXX賞を受賞した『愛のなまず』が映画化されて、空前の大ヒットとなったのだった。





社長室で主人公タケシに股を弄られて喘ぐ女の役をセクシー女優のAが演じ、タケシの指でブラウスの上から突起を玩ばれ、快感から声を漏らさずにはいられない女の役をセクシー女優のBが演じた。





『愛のなまず』の映画はシリーズ化して、主人公タケシが粉飾決算から社長辞任に追い込まれるまでを描いた『愛のなまず-ネバーセイ・ネバーアゲイン-』や、その後復活を果たし、アイドルグループをプロデュースして成功するまでの道のりを描いた『愛のなまずー美しき獲物たちー』も大ヒットした。





神部は映画化の権利と『愛のなまず』の書籍が再度売れたことで、肉体労働からは解放されて、再び作家として生計をたてはじめた。





ある雨の夜、神部がアパートに入ろうとすると、見覚えのある女が立っていた。間違いなく、裕子だ。昔と変わらず、ブラウスがはち切れそうな胸をしている。





神部のもとを去ってから実に6年ぶりの再会だった。裕子を部屋のなかに招き入れ、話しを聞くと、江崎とは夫婦生活が上手くいっていないと言って泣き出してしまった。





理由を聞けば、まぐわいの度に江藤のモノが小さすぎて入っているか入っていないかわからないというのだ。ある時そのことを江崎に指摘したら、「お前のがガバガバなんだ」と逆ギレされたとのことだった。





神部と裕子の二人は昔のように逢瀬を重ねた。一盗二婢三妓四妾五妻とはよく言ったもので、人妻になった裕子を抱くことは興奮の極みであった。この体験をもとに新作も書けそうだと神部は喜んだ。





肌の白さ、吸い付き感、そうか、江藤のモノは小さいのか……と思いながら裕子を思いっきり貫くと、例えようがないほどの優越感を感じられた。




ある日、裕子が「あなたとのことはほとんど江藤にバレているわ…わたし、もう死にたい」と言った。神部は人妻と情事に耽り、映画もヒットし、新作を書く意欲に満ちあふれている絶頂の今、死ぬのも悪くないなと思った。だらだらと生きるよりも、惜しまれながらも夭折した作家として後世に名を残すほうがよい。





一緒に死ぬと決まったら、神部はその考えに陶酔してしまった。裕子が好きな小説『ロストパラディーソ』の主人公たちのように、男と女が合体したまま、赤ワインに青酸カリを入れたものを口移しで飲んで心中することにした。





場所はホテルやアパートでは、片付ける人に迷惑が掛かるということで壮大な自然の中がよいということで二人の意見も一致した。





(後編へつづく)

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