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官能相場小説「架純と相場」

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「架純と相場」

株価が10セント騰がるだけでも架純の身体は反応してしまう。株の取引をはじめたのは今からちょうど一年前のことだった。





2020年の3月のコロナショックで株式市場が大暴落した時、当時付き合っていた男のすすめでアマン”ン株(ティッカー:AMN”N)を30株買った。1600ドルだったその株は2020年の9月には3500ドルになり、売った。



安く買って高く売るだけで約570万円も儲かるなんて、株は簡単だなと思った。それから架純は自分で銘柄を選んで買うようになった。その男とは別れた。



仕事中にもついつい株のことを考えてしまい、その度に身体の中心が沸き立つような熱さを感じて、目も潤んでしまう。ちょうど微熱があるような表情になり、同僚から体調を心配されることが増えた。



株をはじめて8ヶ月ぐらい経ってから、架純はある願望を抱くようになった。株価がブレイクアウトする瞬間に、自分も一緒にブレイクアウトしたい―――――それができたなら、どれほどの愉悦を感じられるだろうか。



ブレイクアウトとは株価がこれまでのレジタンスを上抜けていくことであり、その逆も然りである。株価がブレイクアウトしたと同時にいそいそと売る人もいるが、架純は絶対に新値では売らない。





そこから上は売り圧力のない、空を飛んでいるような展開になるかもしれないからだ。その流れに身をまかせていけるとこまでいく。





※ブレイクアウトの参考画像



現在は同じ会社に勤めている洋祐と付き合っている。彼の父親は事業で失敗したので、子供の頃からお金で苦労したらしく、貯金が三度の飯よりも好きな男である。株式投資なんてお金で遊ぶようなことを心底憎んでいる。



そんな価値観の違う男となぜ付き合っているかというと、固さと持続力が他の男より優れているからだ。だいたい、男という生き物は大きさばかり気にしているが、本当に重要なのはその固さと持続力だと架純は思う。



株価と架純が一緒にブレイクアウトするには、PC画面のチャートをプロジェクターでベッド側の壁に映す必要がある。小さな画面で目を凝らして見るよりは、大きな画面を目の前にして、まるで自分とチャートがピッタリと繋がっているような感覚が欲しかった。



架純は四十八手のなかでも「しぼり芙蓉」で耳朶を刺激されながら攻められたいのだが、男女が同じ方を向くと洋祐にチャート見ていることがバレてしまう。



仕方がないので、洋祐からは見えないように男女が別々の方を向く「抱き地蔵」か「百閉」でブレイクアウトするしかない。少しでも隙を見せたなら洋祐の好きな「鵯越え」にされてしまうので油断してはいけない。



架純はお気に入りの新進気鋭のEV銘柄「にこるん(ティッカー:NKRN)」がブレイクアウトしそうな日に洋祐を自宅に招いた。夕食後、日本時間の23時半に場が開いた直後は売り手と買い手でしばらく株価は揉みあった。



その揉みあいに合わせて架純と洋祐は戯れはじめた。上値抵抗線まであと50セントというところまで株価が上昇してきたと同時に架純の快感度も上がってきた。



ちょうどその時、洋祐は架純の身体を180度回転させて「鵯越え」のかたちになった。反対側の壁にはカレンダーが掛かっているのみだ。この体位ではまるでチャートが見えない。



架純は快感の我慢に耐えかねるふりをして上半身を起こし「本駒駆け」の体勢に入った。そこからはまるで愛しい顔を見ながら絶頂に達したいと言わんばかりに洋祐のほうに身体をむけて「抱き地蔵」のかたちになった。



あゞ、もうすぐだ―――チャートもわたしもブレイクアウトすると思った瞬間に、株価は高止まりして急速に下降しはじめた。



1%、2%、4%、8%と加速度的に下落していく株価。何が起きているかわからない。チャートと架純と洋祐は三位一体のように見えるが、洋祐だけが一人盛り上がっている状態で架純とチャートは萎えている。





架純は1秒でも早くPCのもとに行き、愛読している“ウォール・ストリート・ァナ~ル”の速報を見なくてはと思った。



悪材料が出ていたら、すぐにでも売らなくてはと思い、全身の血の気が引いていくのを感じた。しかし、まだ洋祐が絶頂に達していない。こんな時に洋祐の固さと持続力がアダになるなんて思ってもみなかった。



チャートも自分もブレイクアウトすることを諦めた架純は、荒い息づかいとともに激しく腰を前後に動かして、「あゞ」と絶頂に達した振りをして、「ごめん」と言って抜いてから、PC画面のほうへと小走りで向かった。洋祐の固さと持続力はまだ続いていた。



さっきまで燃え上がっていた身体が急速に冷えているのが気になったが、裸のままで“ウォール・ストリート・ァナ~ル”の速報を見た。





すると、そこには場が開いてちょうど30分後にショート筋で有名なビンビンブルグが、過去に「にこるん」が公開したEVの映像についての衝撃的なスクープを掲載したと書かれていた。架純は震える手で、その記事を開くためクリックした。





「にこるんのEVは電気で動いておらず、4つのタイヤの中にそれぞれハムスターを忍ばせて、それらがひたすら駆けることで、自動車を走らせていた」というネガティブレポートをビンビンブルグが公開したと書いてあった。



架純は膝から崩れ落ちた。

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